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<夏は合宿 冬は寒稽古>

小生、若き日のお話。 前回の続きです。 昔懐かしい話になりました。 

その昔、軽井沢から温泉で知られる草津へ行く 「草軽電鉄」 という電車がありました。 今は北陸新幹線が軽井沢を通るし、この電車はとっくの昔に廃線になったと思いますが。 

トロッコ列車みたいな可愛らしい電車で、軽井沢から草津に向かって山を登っていくと、途中に北軽井沢駅がありました。 その町の小学校を借り切って宿舎兼練習場とし、我らが桐朋学園オーケストラの合宿が夏休みに行われていたんです。 斎藤秀雄先生の指導の下で。

音楽漬けの1週間。 先生には怒られたり、褒められたりいろんなことがあったなぁ。

音楽ファンなら誰でも知っている、JSバッハの無伴奏パルティータ第2番ニ短調の第5楽章 「シャコンヌ」 。

斎藤先生はこの曲を弦楽合奏に、木管楽器を少し加えた編成に編曲されました。 この曲も合宿で教材として取り上げられたんです。

たった1本のヴァイオリンのための音楽なのに、これ程沢山の音が使われ、まるでオーケストラのような豊かな響きになるんだよ・・と先生は教えてくださいました。

新年。

桐朋学園A組オーケストラの練習は、元日は休みでしたが2日から始まりました。 先生は 「寒稽古」 と呼んでおられました。

夏は合宿練習、冬は寒稽古。 ぼやく音楽家のタマゴもいました。

《正月ぐらい休みたいなぁ》 これを小耳にした先生は烈火のごとく怒りました。

《先生がおせ~るって言ってるのに、休みたいとは何事だ!》 先生は、 「教える」 というのを 「おせ~る」 とおっしゃっていました。

厳しい指導の中にも、生徒を一本立ちさせて世に送り出したいと願う、先生の愛を感じる指導でした。 小澤征爾さんはじめ、世界で活躍する音楽家が、先生の 「厳しい愛の鞭」 を受けて育っていったのです。

そう言えば小澤さん、どうしているかなぁ。 昨年の10月下旬、小生、デビュー60周年記念コンサートが終わって、お兄さんの俊夫さんらと祝杯をあげている席で、征爾さんに電話してみました。

俊夫兄さんがコンサートに来てくれたよ・・ 打ち上げで一杯飲み始めたところだ・・ と言ったら、俺も一緒に飲みてぃなぁ・・ 俺、今、入院してるんだ・・ 明日退院だ・・

声がとても荒れていました。 心配です。 またお見舞い電話をしてみよう。

       東日本大震災復興支援のために 「じいたん子ども基金」を開設しました。

(2012年12月10日)

【東日本大震災支援 じいたん子ども基金】 代表 土田英順

北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660

ご支援、よろしくお願い申し上げます。

   

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プロフィール

土田英順

Author:土田英順
土田英順【つちだ えいじゅん】
音楽家・チェリスト。
日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任。
ボストン交響楽団およびボストンポップスでも演奏(1969〜1970)。現在ソリストとして活躍中。
全国各地、19都道府県での「東日本大震災復興支援チャリティ・コンサート」は486回を数え、震災後、東北には19回訪れ、被災地でのコンサートは101回に及ぶ。
(2023年4月末現在)
被災地に滞在中、大津波の犠牲となった女性のチェロに出会い、持ち主のご遺族と友人たちの思いによってボロボロになったチェロを譲り受け、蘇らせた。
チェロの音色が天国に届く事を願いながら、今日(こんにち)も被災したチェロを奏でる。
2014年12月「第17回まちかどのフィランソロピスト賞(社会貢献)」受賞。
2015年10月「札幌芸術賞」受賞。
被災したチェロを使って録音した CD「祈り」発売。
音楽人生をまとめた著書「チェロ弾き英順 音楽の人生(たび)」出版。
第6回 全国新聞社出版協議会 ふるさと自費出版大賞において優秀賞受賞。
2017年11月 ソロプチミスト日本財団より「千嘉代子賞」受賞。
2019年10月 デビュー60周年記念チェロリサイタルを開催。
2022年4月 札幌ユネスコ協会初代広報大使に就任。

2012年12月「東日本大震災支援 じいたん子ども基金」開設。
基金は被災地の方々のために使われている。
【北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660 口座名 東日本大震災支援 じいたん子ども基金 代表 土田英順】

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