昨年12月初旬、朝日新聞盛岡支局の緒方雄大記者から電話がありました。 東日本大震災で犠牲になり、愛器を残して旅立った舩度洋子さんの娘さん・山口由香さん、洋子さんの50年来の友人・簡 智恵子さん、金管楽器修理業者の葛西大志郎さんらのお話に、遺品のチェロを修理して復興支援チャリティ活動で使い続けている小生の話を絡めて、記事をお書きになりたいとのことでした。
電話をいただいた日から1週間後の12月11日に、宮城県白石市で東日本大震災復興支援チャリティコンサート<460>が開催されることを記者に伝ると、是非そのコンサートに行き、遺品のチェロの音色、響きに接したいとおっしゃいました。
コンサート当日、会場には開演前から緒方記者のお姿がありました。 最近、東京本社から盛岡支局へ赴任した彼は、盛岡から東北新幹線で白石蔵王駅近くのコンサート会場、「佐久間工務店モデルルーム」に来られたのです。
遺品のチェロの音色、響きをたっぷりと鑑賞した記者は、終演後、小生に話を聞かせてほしいと1時間ぐらい取材を受けました。
そしてその記事は、3月12日の朝刊、岩手版に掲載されました。
天国へ旅立った洋子さんは、チェロだけでなく、三味線やギターの腕も磨いていたそうです。
洋子さんの写真は、2018年に「国際ソロプチミスト大船渡」主催のコンサートで大船渡を訪れた時、洋子さんのお友達から頂きました。 お友達は、《亡くなって7年も(当時)経っているのだから、ブログに出してもよいのでは。》 と、おっしゃったのですが、ご遺族のご意向を確認せずに出すことはできませんでした。
「ボストンバッグにチェロと酒」に洋子さんの写真が登場するのは、このブログが初めてです。
山口由香さん:《あちこちで自慢の音色を聞いてもらっている。 母は幸せ者です。》
簡智恵子さん:《まだ亡くなったと思いたくないから、携帯電話から連絡先は消してないの。》
葛西大志郎さん:《直すことができたら供養になるのでは。》
響かなかった音も使ううちに温かみを帯びていった。
小生:《何事も ” 諦めるな” とチェロが教えてくれた気がする。》
掲載紙と一緒に送られてきた緒方記者のお手紙には、《・・・土田さんの優しさがあるから、洋子さんのチェロが日本中を旅できているんだな、と、しみじみ感じました。 これからもチェロが土田さんとあちこち回っていくことは、僕にとっても何だかとても嬉しいです。・・・》
緒方記者のお手紙を読んで小生も嬉しくなり、若い記者なのにこんなにも素敵な記事が書けるとは、とても優秀な記者なんだな、と思いました。
小生は緒方さんにメールを送りました。
” 素敵な記事ですね。 山口由香さんも、簡智恵子さんも、葛西大志郎さんも記事を読んでとても喜んでいると思います。 でも、1番喜んだのは天国の洋子さんでしょう。”
☆☆ 朝日新聞社は、以前、小生の東日本大震災復興支援チャリティ活動を、全国版で取り上げてくださいました。 再度の報道に感謝申し上げます。