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<庭師のKさん>

今の家を買ったのは、30年以上も前でした。 敷地面積は62、5坪。 建坪が何坪で庭が何坪なのかは知りません。 自然が好きな小生は、森の中の一軒家のようにしたくて、植木屋さんに行って紅葉やシャラ、オンコ、ライラックなどを注文し、植樹を頼むと植木屋さんが小型トラックで運んできて、家の周囲に植えてくれました。


新築祝いに友人たちが持って来てくれたシャクナゲや、アジサイ、ピンク色と白いツツジなども植え、実に賑やかになりました。 雪解けになり春が訪れると、庭の木々の新緑は美しく、花木に花が咲くと、その美しさには見とれてしまうほどでした。


紅葉は成長が早く、グングン伸びて拡がり、家の窓に覆いかぶさるようになりました。 小生の望み通り森の中みたいになったのですが、それがいけなかったようです。 日当たりが悪くなった花木は元気がなくなり、紅葉に虫がつき、葉が食べられてしまうようになりました。


そんな時、ひょんなことから庭師のKさんと知り合い、紅葉は秋に剪定し、風通しをよくしないと駄目なことを知りました。 


また、ある年の真冬に、屋根に積もった雪が好天の日に暖気で滑り落ち、二重になっている外側の窓ガラスが割れてしまったことがありました。 反対側の北側に滑り落ちた岩のように硬くなった雪氷は、板の壁を突き破り破壊したこともありました。 屋根から落ちてくる雪氷には、ベランダの手摺もやられてしまいました。  


それを知ったKさんは、毎年雪が降る前にガラスが割れた窓と、家の北側の板壁に丈夫な板を貼り付けて我が家を雪氷から守ってくれ、壊れたベランダの手摺も修理して壊れないように補強工事を一人でやってくださいました。 春が近くなり、屋根の上の雪の塊の落下攻撃の心配がなくなると、親切なKさんは補強した大きな板を取り外しに来てくださいます。 


つづく。 

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プロフィール

土田英順

Author:土田英順
土田英順【つちだ えいじゅん】
音楽家・チェリスト。
日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任。
ボストン交響楽団およびボストンポップスでも演奏(1969〜1970)。現在ソリストとして活躍中。
全国各地、19都道府県での「東日本大震災復興支援チャリティ・コンサート」は486回を数え、震災後、東北には19回訪れ、被災地でのコンサートは101回に及ぶ。
(2023年4月末現在)
被災地に滞在中、大津波の犠牲となった女性のチェロに出会い、持ち主のご遺族と友人たちの思いによってボロボロになったチェロを譲り受け、蘇らせた。
チェロの音色が天国に届く事を願いながら、今日(こんにち)も被災したチェロを奏でる。
2014年12月「第17回まちかどのフィランソロピスト賞(社会貢献)」受賞。
2015年10月「札幌芸術賞」受賞。
被災したチェロを使って録音した CD「祈り」発売。
音楽人生をまとめた著書「チェロ弾き英順 音楽の人生(たび)」出版。
第6回 全国新聞社出版協議会 ふるさと自費出版大賞において優秀賞受賞。
2017年11月 ソロプチミスト日本財団より「千嘉代子賞」受賞。
2019年10月 デビュー60周年記念チェロリサイタルを開催。
2022年4月 札幌ユネスコ協会初代広報大使に就任。

2012年12月「東日本大震災支援 じいたん子ども基金」開設。
基金は被災地の方々のために使われている。
【北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660 口座名 東日本大震災支援 じいたん子ども基金 代表 土田英順】

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