宮城県の東南端、福島県との県境に近い、太平洋沿岸に位置する亘理郡山元町。 人口約1万2~3千人の小さな町は、東日本大震災で地震と津波による犠牲者が633人、農業も漁業も、町全体が壊滅的な被害を受けました。
小生は、チェロを弾いて被災した町民を励まそうと、この町を初めて訪れたのは、2013年8月でした。 曹洞崇 園通山普門寺の本堂で、お集まり下さった町の人50~60人にチェロを聴いて頂き、終演後の交流会で、町民のご要望を伺う機会がありました。
ご要望の中には、ビニールを使った仮設集会所建設支援がありました。 その時、小生が「じいたん子ども基金」を開設してから8~9ヵ月余り。 基金から建設のお手伝いをさせて頂き、翌年完成した集会所は「じいたんドーム」と名付けられました。 支援がきっかけで友になった菊地慎一郎さんからの最近のお便りでは、町民が毎日のように使用しているそうです。
※ コンサート開催時の「じいたんドーム」
編み物、縫い物をしながらおしゃべり会を楽しむ高齢のご婦人らは、ドーム内に冷蔵庫が置かれ、ガスコンロ、流し台が設置され、何よりも使用料が無料だし、おまけに立派な水洗トイレが、昨年完成したのですから、ここは実に居心地がよい場所になったのでしょう。
ん? だが待てよ!!
「じいたんドーム」はビニールハウス。 今年4月のことでした。 宮城県の土木事務所の役人の査察が入って、ビニールハウスでも建物として使ってはダメ! って言われたんじゃなかったの? パブリック施設はダメ! 勿論コンサートもダメ! 農業用とか倉庫として使えって! 汚くしろって!
山元町には町のチームリーダーみたいな爺セブンと呼ばれるお爺さんが7人いるのですが。 その親分みたいな菊地さんは一計を案じました。 「じいたんドーム」の玄関脇に、使い古した汚れた耕運機を置き、ドーム内には野菜のクズをたくさん置きました。 野菜のクズ? 「じいたんドーム」の裏は広~~い畑。 収穫した野菜の中には、 曲がったキュウリ、形のよくないトマト、里芋、じゃがいも、さつまいもなどイモ類や玉ねぎなど、商品にはならなくても食べられる野菜があります。 「じいたんドーム」を、泥がついたままの野菜のクズを、一時的な保管場所にしたのです。
再度査察にきた役人さん。 それを見て、「よろしい」と使用許可を出し、写真を撮ってお帰りあそばされたそう。 でもね、汚れた耕運機や泥だらけの野菜のクズの中で、町民がくつろぎ楽しんでいるとは思えません。 お役人様がお帰りになったあと、元通りか、それ以上にきれいにしたのかも知れません。 百聞は一見に如かず! コロナの状況を考慮しながら、どうなっているのか、今度は小生がコンサートを兼ねて査察に行ってみよう。(笑)
※ 3月11日に、札幌市内にある北海道演劇財団所有の小劇場「シアターZOO」で行われた「第464回 東日本大震災復興支援 無観客チャリティコンサート」の動画を配信中です。
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東日本大震災復興支援のために 「じいたん子ども基金」を開設しました。
(2012年12月10日)
【東日本大震災支援 じいたん子ども基金】 代表 土田英順
北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660