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<本州へチェロの旅 ⑫ 最終回・女性の涙/興奮状態のインド人>

全日程が終了し、菊地慎一郎さんの車で仙台空港へ向かいました。 山元町から仙台空港までは高速道路を利用して約30~40分。 搭乗便は札幌行、19:15発、AIR-DO111便。

今回の旅、出発前に不快なことがありました。 チェロの機内持ち込みの件で。 航空券購入時、電話に出たJALの職員にチェロケースの長さ(高さ)を聞かれました。 150cmと言うと130cm以上は機内に持ち込めません・・と言われました。 何十年も前から何度も何度も150cmで持ち込みができたのに。

規則が変わったんですか? ・・規則はありません・・だとさ。 じゃ、いいですと言って、小生はAIR-DOにしたのです。 後日、念のためにAIR-DOのカウンターで長さを測ってもらったら130cmでした。(笑)

飛行は快適でした。 客室乗務員のお姉さまが勧めてくださったホタテスープが美味かった。

新千歳空港に着陸し、機内から到着ロビーに向かって歩き出すと、突然息苦しくなりました。 疲れ方が半端じゃないな。 飛行機の座席は2列目(1列目は非常口があり空席)でしたから、機外に出たのは最初の方でした。 でも到着ロビーに着いたのはビリでした。 苦しい。 もう歩けない・・ 心臓クン、酷使してすまなかった。 耐えかねて心房から不規則な電気を発したんだね。 椅子に座り、じっとして回復するのを待ちました。

休んでいると、旅でのコンサートの事が頭に浮かんできました。 ピアニスト、荒井玲奈さんとのアンサンブルはよくなかった。 一昨年の時はとてもよかったのに。 二日目のリハーサルで小生は雷を落としました。

”きのうから何をやってんだ!”  やればできることをやらないから怒ったのです。 

小生もミスが多かった。 言い訳は無し。 繊細な神経、メンタル部分の影響が大きい生演奏。 小生の精神面の弱さが出てしまいました。

自らの採点では土浦めぐみ教会での演奏は、かろうじて及第点。 他は全部落第点。 新潟県浦佐認定こども園も、原ノ町カトリック教会、山元町ふるさとおもだか館も演奏はよくなかった。

でも。

めぐみ教会で目を閉じて「G線上のアリア」を弾き、終わって客席を見たら最前列の若い女性2人は涙を拭っていました。 次の「アリオーソ」を弾き終わったあとも。 感動してくれたんだ。 また、インド人の青年が興奮状態でした。 CDを買ってくれ、握手をしてくれと、手を差し出し、ツーショット写真を撮りたいと。 演奏は自分が思っているよりはよかったのかもしれません。  

新千歳空港の到着ロビーで、椅子から立ち上がってノロノロ歩き始めたのは、30分ぐらい経ってからでした。   

空港の端から端まで。 ノロノロ歩いてタクシー乗り場に到着。 これで家に帰れる。 もうチェロを持たなくていい。 体の中にあるエネルギーみたいなものは何も残っておらず、自分にあるものをすべて使い切り、最後は抜け殻のようになってしまった旅でした。

<本州へチェロの旅> おわり。

     東日本大震災復興支援のために 「じいたん子ども基金」を開設しました。

                  (2012年12月10日)

【東日本大震災支援 じいたん子ども基金】 代表 土田英順

                               北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660 

コメント

お疲れさまでした

本当に、本当に、お疲れさまでした。
土田さんのお身体心配です。
どうぞ無理なさらないでください。

No title

帰って来ましたよ。 旅は自分との闘いでした。 ご心配おかけして申し訳ありません。 ブログ、もう少し気を付けて書けばよかったです。 ごめんなさい。🙇

大変でしたが、幸せな旅でもありました。 初訪問の新潟県浦佐の人たちとの出会いは、ホントに素晴らしい出会いでした。 地震や津波でどん底に突き落とされた人たちに心を寄せ、手を差し伸べる。
人として当たり前のことですが、それがなかなかできない。
コンサートを主催してくださった浦佐認定こども園の園長さんも、保育士さんたちも、そこで働く人たちは、皆さんがその心を持った人たちでした。 そこでチェロが弾けて幸せでした。 行ってよかった!!! 

No title

少し安心しました。
よき出会いも沢山あったのですね。
お身体お大事に、ご活躍をお祈りしています。

No title

旅は大変でしたが、土浦では子どもたちから募金をお預かりし、浦佐では、こども園の園長さんや、園児のお母さん方から、活動を続けるのにお金がかかって大変でしょう・・って、活動費のカンパがありました。 大変な旅は感謝感激の旅でもありました。
帰宅後は5日間練習を休んで休養しました。 疲労は回復しましたが、高齢の身です。 先のことを考えても気が重いので、一日一日を乗り越えていく気持ちで頑張って行こうと思います。

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プロフィール

土田英順

Author:土田英順
土田英順【つちだ えいじゅん】
音楽家・チェリスト。
日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任。
ボストン交響楽団およびボストンポップスでも演奏(1969〜1970)。現在ソリストとして活躍中。
全国各地、19都道府県での「東日本大震災復興支援チャリティ・コンサート」は500回を数え、震災後、東北には21回訪れ、被災地でのコンサートは105回に及ぶ。
(2024年1月現在)
被災地に滞在中、大津波の犠牲となった女性のチェロに出会い、持ち主のご遺族と友人たちの思いによってボロボロになったチェロを譲り受け、蘇らせた。
チェロの音色が天国に届く事を願いながら、今日(こんにち)も被災したチェロを奏でる。
2014年12月「第17回まちかどのフィランソロピスト賞(社会貢献)」受賞。
2015年10月「札幌芸術賞」受賞。
被災したチェロを使って録音した CD「祈り」発売。
音楽人生をまとめた著書「チェロ弾き英順 音楽の人生(たび)」出版。
第6回 全国新聞社出版協議会 ふるさと自費出版大賞において優秀賞受賞。
2017年11月 ソロプチミスト日本財団より「千嘉代子賞」受賞。
2019年10月 デビュー60周年記念チェロリサイタルを開催。
2022年4月 札幌ユネスコ協会初代広報大使に就任。

2012年12月「東日本大震災支援 じいたん子ども基金」開設。
基金は被災地の方々のために使われている。
【北洋銀行 札幌西支店 普通 5161660 口座名 東日本大震災支援 じいたん子ども基金 代表 土田英順】

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